恋愛21日目:クリスマスイブの暖かい涙

恋愛シュミレーションゲームを無理矢理やらせてみた 

更新:2021.10/05 (公開:2021.10/05)

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物語の中心にいつもあった人形劇。
そして今回はその人形劇当日。
人形劇の内容をノーカットで今回はお伝えします!



昔々、とある国のとある村に、エト、という少年がいました。

孤児院育ちのエト少年は、生まれつき目が見えません。



エト「よいしょ、よいしょ」

それでも、エト少年は持ち前の明るさと努力で一生懸命暮らしてきました。
今日も、エト少年は一生懸命、おうちのお手伝い



シャルル「エトー、エトー。どこにいるのー?」

彼女の名前はシャルル

目の見えないエト少年を孤児院から引き取った家の一人娘です。

エト「シャルここだよ」

シャルル「まぁ、水汲みをしていたのね」

二人はとても仲が良く、本当の姉弟のように育っていました。

そんな二人を温かく見守るのは



ニコラ「シャルルの祖父、ニコラじゃ」

クレア「シャルルの母、クレアよ」

エト少年はこの一家にとても大事にされ、それはそれは幸せな日々を送っておりました。

ただひとつ。エト少年には悩みがありました。



エト「ああ、シャルはなんて気立てのいいお姉さんなんだろう」
エト「僕は目が見えないけど、きっとその心とおんなじようにきれいでステキなんだろうな」

そうです。エト少年はシャルルに淡い恋心を抱いていたのです。

ですが、

エト「それなのに。僕はシャルに迷惑を掛けてばかりいる」
エト「もっとがんばらなきゃ」
エト「シャルに迷惑かからないよう、がんばらなきゃ」

エト少年は自分が世話をしてくれているシャルルの重荷になっている、そう思っていたのでした。

シャルルはそんなエト少年の悩みなどまったく気付かず、今日もエト少年と一緒におうちのお手伝いをしています。



クレア「シャルルー、エトーお夕飯のお野菜とお肉を買ってきてちょうだいー」

エト「はーい!」

シャルル「行こう、エト」

エト「うん、シャル」

そんなある日

村人A「もうすぐクリスマスだ!」
村人B「もうすぐクリスマスね!」
村人C「もうすぐクリスマスがやってくる!!」

村はもうすぐやってくるクリスマスに、大盛り上がりです。

クリスマスには年に一度、人々にプレゼントを与えるためにサンタクロースが地上に降りてくるのです。

子供も大人も、そんなサンタクロースがやってくるのを、今から心待ちにしているのでした。



ニコラ「また今年もこの季節がやってきたな」

クレア「はい。今年はシャルルがサンタとしてデビューするおめでたい年ですわ。おじいちゃん」

そうなのです。実はシャルルの家は、あのサンタクロースの一家だったのです

ですが、そのことは村人はおろか、一緒に済んでいるエト少年も知らない秘密なのでした

ニコラ「おめでたいといえば、先日、シャルルを嫁にしたいと言ってきた話はどうなったんじゃ?」
ニコラ「ほら、この土地の領主、お金持ちのフレッド伯爵からのラブコール」

クレア「それが・・・まだ何もシャルルには言ってないのです」

ニコラ「なに。こんないいご縁のお話は他にはないのだから、早くシャルルに伝えなさい」

クレア「わかりました」

その頃シャルルは、今年サンタデビューをするという喜びと不安でいっぱいでした



シャルル「ねぇ、エト」

エト「なんだい、シャル」

シャルル「エトは、クリスマスにサンタさんからもらうプレゼント、なにがいい?」

エト「そうだなぁ」
エト「いろいろあるけど、内緒にしておく」

シャルル「どうして?」

エト「やっぱり恥ずかしいから」

シャル「うふふ。教えてよ。誰にも言わないから」

エト「だめだよ。あぁ、僕、水を汲んでくる」



シャルル「ああ、エト・・・・・・!」
シャルル「残念。エトの欲しいものが聞けなかったな」
シャルル「私、本当にサンタクロースになれるかしら」
シャルル「お父さんやおじいさんのような立派なサンタクロースに・・・」
シャルル「ううん、大丈夫。きっと大丈夫。だって・・・・・・」
シャルル「私がエトにプレゼントを渡すんだもの」
シャルル「エトの欲しいものは何かしら。欲しいものはなんだってあげたいわ」
シャルル「だって、私はエトが・・・・・・」
シャルル「エトが、好きだから」



???「おお。麗しのシャルルよ!」
???「私の妻となるシャルル。どうか、この愛を受け取ってほしい」

村のはずれから白馬に乗った貴族、フレッドがやってきました。
シャルルの返事を聞くためです。

フレッド「シャルル。そなたの返事はもちろん、イエーーーッスだろうな?」

いくらフレッド伯爵にいい寄られても、シャルルはエトのことが好き
しかし、そのことが上手く言えません

シャルル「わ、私はあなたの妻にはなりません」

フレッド「がっがーーーん!ホワーイ!? なぜーーーっ!?」

シャルル「私は・・・私は・・・・・・」
シャルル「エトの世話をしなくてはならないからです」

このやりとりをこっそり聞いていたエト少年は、ショックを受けました。

エト「そんな・・・・・・僕の世話をするから、縁談を断るだなんて」
エト「僕は、僕はそんなの嫌だ」
エト「僕はシャルに幸せになってほしいのに!」

エト「ああ、サンタさん。どうかシャルが幸せになれますように」
エト「僕がシャルのお荷物になりませんように」
エト「僕がこれ以上、彼女の重荷にならないよう」

そう願わずにはいられないエト少年なのでした

やがて、村は一面雪に覆われ・・・・・・
みんなが待ちに待ったクリスマスです。



村人A「メリークリスマス!」

村人B「メリークリスマス!」

行き交う人はみんな楽しそうです。
なのに、エト少年だけは楽しくありません

シャルル「エト・・・?どうして私を避けるの?」

エト「避けてなんかないよ」

シャルル「嘘。私と一緒に買い物に行ってくれないし、水汲みにも行ってくれないじゃない」

エト「僕はもうひとりでできるんだ」

シャルル「え?」

エト「シャルの助けなんかかりなくても、僕はなんでもひとりでできるんだよ」

シャルル「エト・・・」

エト「だから、だからもう、僕のことは放っておいてくれ!」

シャルル「エト!」
シャルル「・・・行ってしまった」
シャルル「私は、エトに嫌われてしまったの?」
シャルル「どうして?こんなにもエトのことが・・・」

クリスマスイブのその夜
シャルルはサンタクロースとして、村の一軒一軒を回っていました。



シャルル「この子のプレゼントは・・・大きなクマのぬいぐるみ」
シャルル「マゼリカマジョリカ、我の願いをききたまえ」
シャルル「この子に大きなクマのぬいぐるみを与えたまえ」

シャルルが魔法の呪文を唱えます
すると、どうでしょう。寝ている子供の枕元に、大きなクマのぬいぐるみが現れました。

シャルル「来年もいい子でいてね」
シャルル「さぁ、次のおうちは・・・・・・」

やがて、白々と夜が明ける頃
シャルルは最後のおうちを訪ねました
そう。自分のおうちで眠っているエト少年のところです

シャルル「エト・・・・・・」
シャルル「私のこと嫌いになったんじゃないよね」
シャルル「私は・・・エトのことが・・・」
シャルル「ぐす・・・・・・」
シャルル「さ、さあ。エトにプレゼントをしなくちゃ」
シャルル「エオは何が欲しいのかな?」
シャルル「・・・・・・」

エト「サンタさんへ」
エト「僕はシャルのことが一番大好きです」
エト「でも、僕の目が見えないせいで、シャルの重荷になってしまいました」
エト「僕のせいで、シャルは縁談を断ったのです」
エト「サンタさん、どうかこんな僕を消してください」
エト「僕を消して、シャルが幸せになれますように」
エト「それが僕の欲しいプレゼントです」

シャルル「・・・・・・エト」
シャルル「どう・・・して?」
シャルル「どうして、そんなこと・・・?」
シャルル「そんなこと、思っていただなんて・・・」
シャルル「エトが、そんなことを・・・・・・!」



シャルルの頬を涙が伝います

シャルル「エトが消えたら・・・私は不幸になるんだよ?」
シャルル「エトがいないと、私は幸せになんかなれないんだよ?」

シャルルは静かに泣きました
やがて、その涙がエトの瞼の上に落ちます



エト「・・・サンタ、さん?」

エトが目を覚ましたようです。

シャルル「こんばんわ、エト」

エト「こんばんわ、サンタさん」
エト「僕の欲しいプレゼントを書いた手紙、読んでくれた?」

シャルル「・・・・・・」

エト「僕ね、このおうちの人、みんな大好きなんだ」
エト「その中でも一番シャルが好きでね」
エト「シャルはずっと僕のために尽くしてくれて・・・だから、僕、シャルには幸せになって欲しいんだ」
エト「僕、シャルの重荷になりたくないんだ」
エト「だから、お願いサンタさん。僕へのプレゼントは僕が消えること」
エト「そして、シャルがずっと幸せであり続けること」

シャルル「残念だけど・・・エトへのプレゼントはないんだよ」

エト「どうして?」

シャルル「だって・・・」
シャルル「プレゼントをあげたら・・・」
シャルル「シャルルの大切なエトが消えてしまう・・・からっ」

エト「・・・え?」

シャルル「そんな魔法、使えないよ・・・」

エト「サンタさん・・・・・・」



シャルル「エト、彼女はあなたのことが好き。主になんて、そんなこと思ってない」
シャルル「縁談を断ったのも、あなたが好きだから。エトのそばを離れたくないから!」
シャルル「だから、お願いだから・・・・・・」
シャルル「そんなプレゼントが欲しいなんて・・・・・・願わないで!」

エト「・・・・・・サンタさん?」

シャルル「ううぅ・・・・・」

エト「泣いてるの?」

エト少年は気付きません。自分も泣いていることを

シャルル「私も泣いているけど・・・・・・」
シャルル「ちがう。これはエトの涙」

エト「サンタさんの悲しい気持ちが、僕の中に入ってきて・・・・・・」
エト「僕、泣いているんだね」

シャルル「ええ。エトの悲しい気持ちが私の中にも入ってきてるのよ」

エトとシャルルは抱き合いました。そのとき



エト「・・・・・・」
エト「明るい、眩しいよ・・・・・・」
エト「でも、なんて暖かい光」

シャルル「エト?」



エト「・・・・・・見える」

シャルル「え?」

エト「シャルの顔が見えるよ・・・・・・?」

シャルル「エト!」

奇跡が起こりました。エト少年の目が見えるようになったのです。

エト「僕、見えるよ。シャルの顔、見えるよ!」

シャルル「良かった、エト!」

ふたりは再び強く抱きしめ合いました。
エトとシャルルの互いに相手を想う気持ちが、クリスマスに奇跡を起こしたのです。

シャルルはエトに言います。
私の幸せはもう手に入ったのよ、と

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